撹拌混合
撹拌液面変化(バッフルなし槽の渦)
バッフルのない槽で生じる、中心の液面低下 $\Delta H_1$ と槽壁の液面上昇 $\Delta H_2$ を推算します。
入力
直接入力した場合はこの値を使います。未入力なら下の羽根幅・羽根枚数・撹拌レイノルズ数から推算します。
撹拌レイノルズ数ツールで計算した値を入力してください。
計算結果
入力値を入れて「計算する」を押してください
計算式
バッフルのない撹拌槽では、遠心力により液面に偏りが生じ、中心が下がり槽壁が盛り上がります。ここでは固体的回転(中心付近の液塊が翼と一緒に回転)と外側の自由渦(角運動量保存)を組み合わせたモデルで両者の落差を計算します。
固体的回転半径 $r_c$ を直接入力しない場合は、翼寸法と撹拌レイノルズ数から次式で推算します。
$$ \dfrac{2r_c}{d}=1.23\left\{0.57+0.35\left(\dfrac{d}{D}\right)\right\}\left(\dfrac{b}{D}\right)^{0.036}\left(\dfrac{n_p^{0.116}Re}{10^{3}+1.43Re}\right) $$
$$ \Delta H_1 = \pi^{2} d\, Fr \left( \dfrac{2 r_c}{d} \right)^{2} \left[ 1 - \left( \dfrac{2 r_c}{D} \right)^{2} \left\{ \ln \left( \dfrac{D}{2 r_c} \right) + \dfrac{3}{4} \right\} \right] $$
$$ \Delta H_2 = \pi^{2} d\, Fr \left( \dfrac{2 r_c}{d} \right)^{2} \left( \dfrac{2 r_c}{D} \right)^{2} \left\{ \ln \left( \dfrac{D}{2 r_c} \right) + \dfrac{1}{4} \right\} $$
ここで $Fr = n^{2} d / g$ はフルード数です。
- $\Delta H_1$:中心部の液面低下量[m]
- $\Delta H_2$:槽壁部の液面上昇量[m]
- $r_c$:固体的回転半径[m]
- $d$:翼径[m]
- $D$:槽径[m]
- $b$:羽根幅[m]
- $n_p$:羽根枚数[-]
- $Re$:撹拌レイノルズ数[-]
- $n$:回転数[1/s]
- $g$:重力加速度(9.80665 m/s²)
適用範囲と注意事項
中心の固体的回転部と外側の自由渦を組み合わせた、軸対称で定常な液面形状のモデルです。バッフルなしの槽の液面の落差($\Delta H_1$、$\Delta H_2$)を、回転数 $n$ とフルード数 $Fr=n^2d/g$ から求めます。
- 使える条件:バッフルのない槽。バッフル付き槽の液面形状を求める式ではありません。
- 液深さと比べる:液深さ $H$ や翼の位置は入力に含まれないため、$\Delta H_1$ が液深さや翼の浸漬深さに達するかどうか(空気を巻き込む状態かどうか)は判定されません。結果の mm 値を、実機の液深さと翼の位置に照らして読む必要があります。
- $r_c$ の与え方:$r_c$ を推算で求める場合は、$b$・$n_p$・$Re$ から出す経験式の値です。$n$・$d$・$D$ が一定なら、$\Delta H_1$ は $r_c^2$ に補正項、$\Delta H_2$ は $r_c^4$ に対数項が掛かります。$r_c$ の誤差は両者に大きく効きます。実測の $r_c$ があれば直接入力できます。
- 静止液面の基準:液量が変わらない条件で、槽断面全体の液面高さの平均を静止液面とします。上の $\Delta H_2$ は、この条件を満たすよう旋回流速度から求めた式です。『最新ミキシング技術の基礎と応用』p.8 式(1.10)の $(d/D)^2$ と異なり、体積保存から $(2r_c/D)^2$ を用います。
- 回転数の効き方:$r_c$ が同じなら $\Delta H\propto Fr\propto n^2$ です。回転数を2倍にすると、落差は約4倍になります。
- 入力の制限:$2r_c$ が槽径 $D$ 以上になる値や、翼径 $d$ が槽径 $D$ 以上になる値はエラーになります。
参考資料
書籍
最新ミキシング技術の基礎と応用(化学工学の進歩42)
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