バッフルあり撹拌所要動力
邪魔板幅・枚数・液深さからバッフル補正後の動力数 $N_p$ を求め、撹拌所要動力 $P$ に換算します。
入力
翼種を選ぶと一部の代表値を入力します。Np0 は亀井・平岡の式などで求めたバッフル無し動力数を入力してください。
前段の「亀井・平岡の式(バッフル無し撹拌所要動力)」で求めた値を使えます。
空欄ならパドル翼・傾斜パドル翼は形状から自動計算します。大型翼は手入力してください。
計算結果
計算式
バッフルあり条件では、完全邪魔板条件の動力数 $N_{Pmax}$ とバッフル補正変数 $x$ から、バッフル付きの動力数 $N_p$ を求めます。補正式の計算値がバッフル無し動力数 $N_{p0}$ を下回る場合は $N_{p0}$ を採用します。
パドル翼では $x=4.5(B/D)n_B^{0.8}(H/D)/N_{Pmax}^{0.2}+N_{p0}/N_{Pmax}$ を基本にします。傾斜パドル翼、大型翼、HR320系は翼種に応じて $x$ の形を切り替えます。
この $x$ の $H/D$ を含む形は、加藤ら(2011)で $h_B=H$ とした場合に相当し、加藤ら(2015)にも同じ $x$ があります。2011年論文では動力数の補間式が異なり、2015年論文はHB翼への適用です。
傾斜パドル翼の補正式
この選択肢で $N_{Pmax}$ が空欄の場合は、傾斜パドル翼の次式で推算します。
大型翼の補正式
加藤ら(2016)の式を使い、$N_{p0}/N_{Pmax}$ の加算項は含めません。
- $P$:撹拌所要動力[W]
- $N_p$:バッフルあり動力数[-]
- $N_{p0}$:バッフル無し動力数[-]
- $N_{Pmax}$:完全邪魔板条件の動力数[-]
- $x$:バッフル補正変数[-]
- $B$:バッフル幅[m]
- $n_B$:バッフル枚数[-]
- $h_B$:バッフル長さ[m]
- $D$:槽径[m]
- $H$:液深さ[m]
- $d$:翼径[m]
- $b$:翼幅[m]
- $n_p$:羽根枚数[-]
- $\theta$:羽根取り付け角度[°]
- $\rho$:密度[kg/m³]
- $n$:回転数[1/s]
- 大型翼は完全邪魔板条件の動力数を手入力してください。メーカー翼は翼形状と適用範囲の確認が必要です。
適用範囲と注意事項
入力したバッフル無し動力数 $N_{p0}$ と、完全邪魔板条件の動力数 $N_{Pmax}$ のあいだを、邪魔板の寸法・枚数と液深さから決まる補正変数 $x$ で結ぶ相関式による計算です。単一の均質な液体(物性は密度 $\rho$ のみ)を前提にしています。
- 使える条件:選択肢にある5種類(パドル翼、傾斜パドル翼、大型翼、HR320、HR320S)で、翼種ごとに用意された $x$ の形が実機の翼に対応する場合。
- 使えない条件:選択肢にない翼種。$x$ の形は翼種ごとに異なるため、他の翼種の式を流用した値は相関式の裏付けがありません。大型翼は $N_{Pmax}$ を自動計算できないので、手入力が必要です。
- $N_{p0}$ の扱い:$N_{p0}$ は運転条件の撹拌レイノルズ数で求めた値をそのまま入力する形です。$N_{Pmax}$ はレイノルズ数に依存しない定数として扱います。動力数がレイノルズ数に依存しなくなるのは乱流域なので、層流域や遷移域では、運転条件の $N_{p0}$ を使わないと $N_p$ が外れます。大型翼の $x$ には $N_{p0}$ が入らず、$N_{p0}$ は下限値としてだけ働きます。
- 結果の読み方:補正式の値が $N_{p0}$ を下回ると $N_{p0}$ を採用し、結果欄に注記が出ます。$h_B$ は液深さ以下の正の数値とします。$B/D$、$n_B$、$H/D$ には範囲のチェックがなく、相関式の元になった実験範囲の外でも数値は出ます。範囲は参考資料の各論文で確認してください。
- パドル翼の液深さ:上記の2011年・2015年論文の実験は $H=D$ です。通常のパドル翼について、$H\ne D$ における検証範囲は確認できていません。
- 大型翼の実験条件:2016年論文はマックスブレンド、フルゾーン、MR205を対象に、$H/D=0.8$〜$1.5$ で検討しています。実機への適用は翼形状と槽底形状も合わせて確認してください。
- 外れやすい場合:気体の吹き込みや固体粒子の存在による動力の変化、液面に渦が生じる条件の影響は式に入っていません。
参考資料
最新ミキシング技術の基礎と応用(化学工学の進歩42)
Amazonで見る
化学工学計算支援ツール