物性・熱力学
混合気体の粘度(Wilke式)
各成分のモル分率・純気体粘度・分子量から、混合気体全体の粘度を計算します。最大6成分まで対応しています。
入力
| # | 成分名 | 組成 | 純気体粘度 μi[μPa·s] | 分子量 Mi[g/mol] |
|---|
μi は混合前の各純気体の粘度です。すべて同じ温度・圧力における値を入力してください。組成は合計値で正規化して計算します。
計算結果
入力値を入れて「計算する」を押してください
計算式
Wilke式
$$ \mu_\mathrm{mix}=\sum_i\frac{x_i\mu_i}{\sum_j x_j\phi_{ij}} $$
$$ \phi_{ij}=\frac{\left[1+\left(\mu_i/\mu_j\right)^{1/2}\left(M_j/M_i\right)^{1/4}\right]^2}{\sqrt{8\left(1+M_i/M_j\right)}} $$
- $\mu_\mathrm{mix}$:混合気体全体の粘度[μPa·s]
- $x_i, x_j$:成分 $i, j$ のモル分率[—]
- $\mu_i, \mu_j$:成分 $i, j$ の純気体粘度[μPa·s]
- $M_i, M_j$:成分 $i, j$ の分子量[g/mol]
- $\phi_{ij}$:成分 $i$ と $j$ の組合せから求める係数[—]
- $i, j$:成分を表す添字
単純な加重平均ではない理由
気体の粘度は、分子が移動・衝突しながら運動量を運ぶ性質です。混合すると、分子量や粘度が異なる分子同士の衝突が加わるため、$\sum_i x_i\mu_i$ という単純なモル分率平均だけでは表しきれません。
Wilke式では、各成分 $i$ に対して周囲の全成分 $j$ の影響を $\phi_{ij}$ で補正します。$\phi_{ij}$ は粘度比 $\mu_i/\mu_j$ と分子量比 $M_i/M_j$ から決まり、次の順序で計算します。
- 成分の組合せごとに $\phi_{ij}$ を求める
- $\sum_j x_j\phi_{ij}$ で、成分 $i$ が混合物中で受ける影響を求める
- 補正後の各成分の寄与を合計し、$\mu_\mathrm{mix}$ を求める
2成分の場合
$\phi_{11}=\phi_{22}=1$ なので、2成分の式は次の形になります。
$$ \mu_\mathrm{mix}=\frac{x_1\mu_1}{x_1+x_2\phi_{12}}+\frac{x_2\mu_2}{x_1\phi_{21}+x_2} $$
例えば、窒素79 mol%(17.81 μPa·s、28.0134 g/mol)と酸素21 mol%(20.18 μPa·s、31.9988 g/mol)では、混合気体の粘度は18.315 μPa·sになります。窒素と酸素は物性が近いため単純平均との差は小さいですが、粘度や分子量の差が大きい組合せほど補正の意味が大きくなります。
適用範囲と注意事項
気体分子運動論に基づくWilke式で、純気体の粘度 $\mu_i$ からそれらの混合物の粘度を推算します。入力した $\mu_i$ の温度・圧力がそのまま混合物の温度・圧力になります。
- 使える条件:低密度(常圧付近)の気体混合物で、全成分の $\mu_i$ を同じ温度・同じ圧力で用意できる場合。
- 使えない/外れやすい条件:低密度を前提とするため、高圧の混合気体と液体混合物には使えません。各成分の粘度を別の温度から補正する機能は含みません。
- 組成の入れ方:式のモル分率 $x_i$ は mol 基準です。質量分率や体積分率を入れると結果が変わります(ツールは合計で正規化するだけで、質量基準から変換はしません)。
- 入力する粘度:$\mu_i$ は実測値または信頼できる物性値を、計算したい温度・圧力で入れてください。温度の異なる値を混ぜても警告は出ず、混合粘度の誤差は入力した $\mu_i$ の誤差をそのまま引き継ぎます。
- 結果の読み方:推算値であり、実測の混合粘度が手元にあるときはそちらを優先します。成分が2つしかなく物性が近い場合は、単純なモル分率平均との差が小さくなります。
参考資料
便覧
改訂七版 化学工学便覧
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