物性・熱力学
クラウジウス・クラペイロンの式
2点の蒸気圧データから蒸発潜熱を求めたり、蒸発熱と基準点から別温度の蒸気圧を外挿します。アントワン定数が手元に無い物質の概算に使えます。
入力
入力すると、求めた蒸発熱を使って T3 での蒸気圧を外挿します。
kJ/mol
水=40.7、エタノール=38.6、ベンゼン=30.7、アンモニア=23.4(標準沸点付近の値)。
計算結果
入力値を入れて「計算する」を押してください
計算式
クラウジウス・クラペイロンの式
蒸発潜熱 $\Delta H_\mathrm{vap}$ が温度範囲で一定、蒸気を理想気体、液体のモル体積を無視できる、と仮定すると次の積分形になります。
$$ \ln\dfrac{P_2}{P_1} = -\dfrac{\Delta H_\mathrm{vap}}{R}\left(\dfrac{1}{T_2}-\dfrac{1}{T_1}\right) $$
2点 $(T_1,P_1),(T_2,P_2)$ が分かれば $\Delta H_\mathrm{vap}$ が求まり、逆に $\Delta H_\mathrm{vap}$ と1点が分かれば任意温度の蒸気圧 $P$ が外挿できます。
- $P$:飽和蒸気圧[Pa]
- $T$:絶対温度[K]
- $\Delta H_\mathrm{vap}$:モル蒸発潜熱[J/mol]
- $R$:気体定数 8.314 J/(mol·K)
適用範囲と注意事項
蒸発熱を一定とした積分形で、2点から蒸発熱を求める計算と、蒸発熱から蒸気圧を外挿する計算です。
- 外挿の誤差:蒸発熱を一定とする近似のため、外挿幅が大きいほど誤差が増えます。臨界点近傍では成立しません。
- 精度が必要な場合:精度よく蒸気圧が必要な場合は、アントワン式や物性データベースの値を使ってください。
- 使える条件:上の式の仮定($\Delta H_\mathrm{vap}$ 一定・蒸気は理想気体・液体のモル体積は無視)が成り立つ温度範囲、つまり低〜中程度の蒸気圧で、与えた2点に近い温度です。実際の $\Delta H_\mathrm{vap}$ は温度が上がるほど小さくなり、臨界温度でゼロになります(Watson式など)。
- 2点法の読み方:2点から求めた $\Delta H_\mathrm{vap}$ は $T_1$〜$T_2$ の区間の平均値です。標準沸点での蒸発熱などの文献値とは一致しないことがあり、区間の外の温度では別の値になります。
- 入力データの条件:2点は同じ物質の飽和蒸気圧(液体と蒸気の平衡)です。固体の昇華圧を入れると、求まるのは蒸発熱ではなく昇華熱で、融点をまたぐ2点には使えません。温度が高いほど蒸気圧が低くなるデータは、蒸発熱が正にならないため計算できません。
- 温度と圧力の取り方:温度は絶対温度(K)に換算して計算します。圧力は絶対圧で入力します。式は比 $P_2/P_1$ を使うため、ゲージ圧のまま入れると比が変わり、$\Delta H_\mathrm{vap}$ も外挿した蒸気圧も誤った値になります。
参考資料
便覧
改訂七版 化学工学便覧
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