圧縮性流体の判定(マッハ数)
流速と音速からマッハ数を求め、流れを非圧縮性(密度一定)とみなせるかを判定します。気体の配管では、圧力損失の入口圧力に対する割合でも判定します。
入力
v は断面で平均した流速、P1 は入口①の圧力、ΔP は①から出口②までの圧力損失です。
配管の断面で平均した流速です。弁や絞りのように断面が狭い所があれば、そこの流速で判定します。
空気 28.97、窒素 28.01、二酸化炭素 44.01、メタン 16.04、水蒸気 18.02、水素 2.016。混合気体はモル分率で重みを付けて平均します。
定圧比熱と定容比熱の比 Cp/Cv です。常温で、空気・窒素・水素は約1.4、二酸化炭素・メタン・水蒸気は約1.3。
ゲージ圧は大気圧 101.325 kPa を足して絶対圧にします。圧力損失と両方入れると、圧力損失による判定もします。
密度を一定として求めた、入口から出口までの圧力損失です。
配管の断面で平均した流速です。弁や絞りのように断面が狭い所があれば、そこの流速で判定します。
水(20 °C)は約 2.2 GPa です。気体を入れるときは断熱の値 K = kP を使います(等温の値 K = P では音速が小さく出ます)。圧縮率 β からの換算は K = 1/β です。
入れると、その圧力の変化で密度が何%変わるか(Δρ/ρ = Δp/K)も表示します。
計算結果
計算式
マッハ数は流速と音速の比で、流れの中で密度がどれだけ変わるかの目安になります。
音速
気体は理想気体として温度から求めます。
液体などは体積弾性係数と密度から求めます。
流速による密度の変化
流れを止めたときの密度 $\rho_0$ との差です。気体は等エントロピー変化の式で求めます。
体積弾性係数から求めるときは、動圧 $\rho v^2/2$ による縮みとして計算します。
圧力損失による密度の変化(気体)
温度が変わらない理想気体では、密度は絶対圧に比例します。
- $Ma$:マッハ数[-]
- $v$:流速[m/s]
- $a$:音速[m/s]
- $k$:比熱比 $C_p/C_v$[-]
- $R$:気体定数 8.314[J/(mol·K)]
- $T$:絶対温度[K]
- $M$:モル質量[kg/mol]
- $K$:体積弾性係数(音速の式では断熱の値)[Pa]
- $\rho$:密度[kg/m³]
- $\rho_0$:流れを止めたときの密度[kg/m³]
- $\Delta p$:圧力の変化[Pa]
- $\Delta \rho$:密度の変化[kg/m³]
- $P_1$:入口の絶対圧[Pa]
- $\Delta P$:入口から出口までの圧力損失[Pa]
- $\rho_1$, $\rho_2$:入口と出口の密度[kg/m³]
判定の目安
| 判定に使う値 | 範囲 | 扱い |
|---|---|---|
| マッハ数 $Ma$ | 0.3 以下 | 非圧縮性とみなせる(空気では密度の変化が約4.4%以下) |
| マッハ数 $Ma$ | 0.3 を超え 1 未満 | 圧縮性を考える |
| マッハ数 $Ma$ | 1 以上 | 音速以上。一定断面の配管の中で、亜音速の流れが音速を超えることはない |
| 圧力損失の割合 $\Delta P/P_1$ | 10% 以下 | 入口か出口の密度で、密度一定の式を使える |
| 圧力損失の割合 $\Delta P/P_1$ | 10% を超え 40% 以下 | 入口と出口の平均の密度で、密度一定の式を使える |
| 圧力損失の割合 $\Delta P/P_1$ | 40% を超える | 圧縮性流体の式で計算する |
適用範囲と注意事項
流れの中で密度が変わる割合を、流速(マッハ数)と圧力損失の2つから見積もります。
- 2つの判定の違い:マッハ数で見るのは流速による密度の変化で、圧力損失の割合で見るのは配管の中で圧力が下がることによる密度の変化です。流速が小さくても、長い配管や圧力の低い配管では圧力損失で密度が大きく変わります。入口か出口の密度で密度一定の式(ファニングの式など)をそのまま使えるのは、マッハ数が0.3以下で、圧力損失の割合が10%以下のときです。
- 使える条件:単相の気体または液体の流れ。気体は理想気体として音速を求めます。
- 使えない条件:気液二相流、臨界点に近い気体や高圧で理想気体から外れる気体。高圧のガスは、実在気体の物性から求めた断熱の体積弾性係数と密度を「体積弾性係数から」に入れて計算します。
- 温度の変化:圧力損失による判定の前提は温度一定です。加熱・冷却で温度が大きく変わる流れは、温度の変化でも密度が変わります。
- 液体:配管の流速ではマッハ数がおよそ 0.001 で、流れの中の密度はほとんど変わりません。液体の圧縮性が効くのは、弁を急に閉めたときの水撃のように、圧力が急に変わる場合です。
参考資料
- 流体の圧縮性と非圧縮性
- Isentropic Flow Equations
- Fluid Mechanics: Fundamentals and Applications
- Flow of Fluids Through Valves, Fittings, and Pipe (Technical Paper No. 410)
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