計装・制御
4-20mA信号換算(スケーリング・開平)
計装の4-20mA電流信号を、%・工業量(温度・圧力・流量など)に相互換算します。差圧式流量計の開平換算と、受信抵抗250Ωでの1-5V電圧換算にも対応します。
入力
開平は、差圧に比例した電流信号を受信側で流量に換算する場合に使います。伝送器が開平演算を内蔵している場合はリニアを選んでください。
mA
レンジ単位
レンジ下限・上限と同じ単位で入力してください。
レンジ単位
レンジ単位
例:温度レンジ 0〜200°C なら LRV=0、URV=200。%だけ知りたい場合は LRV=0、URV=100 とします。
計算結果
入力値を入れて「計算する」を押してください
計算式
リニア換算
計装の電気信号は 4-20mA の直流電流に国際的に統一されており、レンジの 0% が 4mA、100% が 20mA(スパン 16mA)に対応します。
$$ x = \dfrac{I - 4}{16}, \qquad PV = LRV + (URV - LRV)\, x $$
$$ I = 4 + 16\,\dfrac{PV - LRV}{URV - LRV} $$
受信抵抗 250 Ω を通すと 1-5V の電圧信号になります($V = 0.25\,I$)。
開平換算(差圧式流量計)
オリフィスなどの差圧式流量計では、流量 $Q$ と差圧 $\Delta P$ に $Q \propto \sqrt{\Delta P}$ の関係があります。伝送器が差圧に比例した電流を出力する場合、受信側で開平(平方根)演算を行って流量に換算します。
$$ x_{flow} = \sqrt{\dfrac{I - 4}{16}}, \qquad I = 4 + 16\,x_{flow}^{2} $$
- $I$:電流信号[mA](4-20mA DC)
- $LRV$:レンジ下限(0%に対応する工業量。Lower Range Value)
- $URV$:レンジ上限(100%に対応する工業量。Upper Range Value)
- $PV$:測定値(工業量。レンジと同じ単位)
- $x$:スパン比(レンジに対する割合。$x=1$ が 100%)[-]
- $x_{flow}$:流量スパン比(開平換算時)[-]
- $V$:受信抵抗 250 Ω での電圧換算値[V](1-5V DC)
- $Q$:流量、$\Delta P$:差圧(開平換算の説明に使用)
対応早見表
| スパン比 | 電流 I | 電圧 V(250Ω) | 開平時の流量% |
|---|---|---|---|
| 0 % | 4 mA | 1 V | 0 % |
| 25 % | 8 mA | 2 V | 50 % |
| 50 % | 12 mA | 3 V | 70.7 % |
| 75 % | 16 mA | 4 V | 86.6 % |
| 100 % | 20 mA | 5 V | 100 % |
適用範囲と注意事項
4-20 mA を、設定したレンジ(LRV〜URV)の 0〜100% に対応させる理想的な換算です。伝送器の校正レンジと、ここに入れるレンジが一致している必要があります。
- 使える条件:電流が測定値に比例する出力(リニア)、または差圧に比例して受信側で開平する構成。どちらで開平しているかは計装仕様書やループ図で確認します。
- 二重開平に注意:伝送器が開平演算を内蔵している場合に開平を選ぶと、流量を二重に開平することになります。電流が流量に比例する信号にはリニアを使います。伝送器側で開平演算済みの信号にはリニア換算を、受信側(DCS・調節計)で開平する構成では電流が差圧に比例するため開平換算を使ってください。
- 開平のゼロ付近:$x_{flow}=\sqrt{x}$ なので、流量が小さいほど電流のわずかな誤差が流量に大きく出ます。たとえば流量 10% は差圧スパンの 1% ですが、電流に差圧スパンの 1% 分(0.16 mA)の誤差があると、流量は約 14% と読めます。4 mA 未満は開平できないため、ツールは換算せずエラーにします。
- レンジ外の値:リニア特性ではレンジ外を外挿して計算します。計算上の電流が 3.8〜20.5 mA を外れる場合、実機の伝送器はその値をそのまま出力しません。
- レンジ外の電流信号:4mA を下回る・20mA を超える信号には意味があります。NAMUR NE43 は次の区分を推奨し、多くのスマート伝送器がこれに準拠しています(しきい値の設定はメーカー・機種により異なります)。3.8〜20.5 mA は有効な測定情報(4mA 未満・20mA 超は飽和=プロセス値がレンジ外)、3.6 mA 以下は故障信号(ダウンスケール・バーンアウト)、21 mA 以上は故障信号(アップスケール・バーンアウト)です。
- ライブゼロ:4mA を 0% に割り当てる「ライブゼロ」には、信号 0mA(断線・電源喪失)と測定値 0% を区別できる、2線式伝送器の動作電流を確保できる、という利点があります。
- 逆レンジ:リニア特性では、逆レンジ(LRV > URV)でもそのまま換算できます(開平は正レンジのみ対応)。
- 開度信号:調節弁の開度信号(4-20mA → 開度 0〜100%)にも使えます。LRV=0、URV=100 としてください。
- 空気式計装:空気式計装の統一信号は 20〜100 kPa です。0% が 20 kPa に対応する考え方は 4-20mA と同じです。
- 電圧換算:表示される電圧は受信抵抗 250 Ω(1-5 V)の場合の値です。別の抵抗を使う回路には当てはまりません。
- 結果の読み方:信号とレンジの関係を計算した理想値です。伝送器の精度、A/D 変換の精度、経年やドリフトによる誤差は含みません。
参考資料
書籍
工業計測と制御の基礎
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